読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

金遣いという教養 藤原敬之

中学生の頃の僕は空前のサイコブームで本屋に行ってはサイコと名のつく本を買って読んでいました。そんな中、手に取った一冊に「アメリカンサイコ」がありました。アメリカンサイコはそれまで読んでいたサイコ作品とは異なり、正直「なんじゃこりゃー」状態でしたが、今から思い返すと他のサイコ関連本は全く覚えていないけど、「アメリカンサイコ」の中身は覚えている。勿論その後「アメリカンサイコ」が映画になりそれを見たという影響も大きいが、先ほど述べたように関連本と全く毛色が違ったし、それまで読んだ本とも全く違ったということで頭に残っていたのだと思う。「アメリカンサイコ」ではたくさんのブランドが語られていたが、中学生の僕にはちんぷんかんぷんだった。解説を見ると訳者の人も分からないことが多いということで、その虚無感というか虚栄感を楽しむのも一つの読み方だみたいなことが書いていた思い出がある。

原敬之さんを知ったのは投資力学という投資信託が出た時でした。友達がファンドの説明会に行って興奮気味に帰ってきてこのファンド買おうと思うと言ったのがそれでした。僕はあまりなんとも思わなかったのだけれど、日興アセットのウェブページ上で毎月更新される藤原さんによる3つのコラムは楽しみにしてよく読んでいました。投資のことと趣味のことなどが書かれたページでしたが、投資のことは記憶になく、趣味の方の描写に心を奪われたことを覚えています。そこでは読書であったり音楽であったりその他いろいろなことに触れられていました。

その描写力の素晴らしさに、僕はビルエバンスを聞いてみたり、小林秀雄を読んでみたり(途中で挫折)、書かれているレストランに行ってみたりしました。その話題の豊富さにこんな凄い人が居るのだなぁ、知の巨人という言葉を誰に対してか、藤原さんが使われていたけど、この人もそれになるんだろうななんて思っていました。しかし突然コラムは全て姿を消します。日興アセットにあった藤原オフィスが閉められたからです。これほどのコラムがなくなるなんてと思いましたがあとの祭りでした。その後、投資本が出されました。非常に内容の濃い本でした。この人の何かにかける力はこれほどにまで凄いのだと思い知らされました。しかし何か物足りません。やはり趣味に関して論じて欲しかったのかも知れません。

最近、日経新聞に藤原さんの記事が載っていました。そこで執筆活動をされていることを知り、3冊本を買いました。勿論一冊目にこの本を読みました。この本では彼のお金を使ってきた形跡を知れます。その物事にある薀蓄の凄さ、しかし僕はそのものについて何も知りません。まぁ最近はグーグルイメージというのがあってすぐにどのようなものか分かるので、すぐに調べるわけですが。そして各商品の値段の高さに驚かされます。しかし薀蓄を読むと少し欲しくなるような解説がつけられています。語られているのは商品だけではなく散髪であったり様々です。ビルゲイツに関してお金の使い方が面白くないとの意見も見られます。

お金を持つ人が豪快に使わず溜め込むことが、今の社会の所得格差などを作っている面があります。結局人は多くお金を持っても使い切れないのです。僕は最近の世界は、昔の貴族と農奴みたいな社会に戻りつつあるのではないかと考えています。今は何か発明したらその壁を簡単に乗り越えられるじゃないかという話ですが、アメリカの居のベーターたちは想いの外高学歴です。つまり教育にお金がかけられた人の方がそれになり易いということを意味しているのだと思うのですね。

閑話休題。まぁこれほど豪快に稼いだお金を使う人の話を読むと愉快です。最近は株式に関しての本ばかり読んで節約は善みたいになっていたので余計なのかも知れません。何かなくなったコラムの続きが読めた、そんな気がします。これからも僕はこの本をたまに開き適当なページで彼の薀蓄を読むことでしょう。