隗より始めよ

今後はいろいろ考え始めます。

苦戦するクオンツをみて2007年を思い出す

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さて二日連続で金融市場のお話を。


もくじ


クオンツファンドが苦戦中

本日、ツイッターを見ていると以下の記事がありました。

www.bloomberg.co.jp

クオンツヘッジファンドの多くは、歴史が古いか新しいかにかかわらず、今年はなかなか利益が出せないでいる。 (中略) グローバル市場の変化を乗り切るために複雑なアルゴリズムを活用するクオンツファンドは、ボラティリティーの高まりを受けて今年は苦戦している。これらのファンドは、金利上昇を巡る不安が広がり2月に市場が動揺した際に不意を突かれ、中国との貿易摩擦やイタリア総選挙がそれに追い打ちをかけた。 (略)

クオンツファンドは何やってるのか?というと、複雑な計算を駆使して儲けるところを探して投資するファンドです。

ツーシグマとかルネサンステクノロジーズとかが有名です。

ツーシグマは5月に6%儲けて今年プラスになったで!!!って記事がありますが、それと同じ記事に他のファンドは苦戦しているという記述があります。

www.bloomberg.com

そして、最初の記事の英語版にはルネサンステクノロジーも今年+1.8%と苦労しているとかかれています。

ついでに申しておきますと、 ブルームバーグの日本語版は英語版を半分も翻訳していないことが多いので、気になる記事は英語版も読むことをおすすめします!

www.bloomberg.com

S&P500指数は4.9%と上昇してんだけどなあ的なコメントがありますが、最初の記事にあったようにみんなが分析しまくっているのでアルファが出ないということなのでしょう。5月のツーシグマの快進撃はちょっとアルファがあるところが見つかったわ的な感じかもしれませんが、すぐにトレースされてしまうかもしれないのでちょっと注目しておきたいところです。

2007年の思い出

個別のヘッジファンドの業績の確認はそのファンドを買っているか、業界の人しかもらえませんが、全体的な指数であれば見ることができます。

HFRXという指数を作っている会社があり、ここが日々、データを出しています。残念ながらヒストリカルはありません。

www.hedgefundresearch.com

ロートルの私はクオンツファンドがおかしくなっているといわれると、すぐにリーマンショックの時に起こったクオンツショックを思い出してしまいます。

ご存じない方に申しておきますと、リーマンショック前の2007年8月にファクターをもとに売買していたクオンツファンドのポジションが急激におかしな動きをはじめ、大きな損失を被るという動きがありました。株価指数としてみると横ばい、もしくは上昇のような感じなのですが、ロングショートなどのポジションを持っているファンドは2,3日で莫大な損失を出しました。その後指数も下落との流れでした。そのころ有名だったのはゴールドマンアセットの何とかってファンド(アルツなので思い出せない)が、とんでもない損失を出してみたいな話が有名でした。

Goldman Sachs' lessons from 'quants quake'

その時の話を読みたい人は、マネックスの広木さんのレポートを見られると良いでしょう。広木さんもロングショートのファンドをやっておられ、当事者としての分析がコンパクトなレポートで、しかも日本語で読めますので、これ以上の教材はないといえます。

https://info.monex.co.jp/report/strategy/pdf/strategy_20140430_1.pdf

そしてこれは先ほど見つけたばかりなのですが、アンドリューロー先生の論文がありました。ちょっと読んでみたいな。

http://alo.mit.edu/wp-content/uploads/2015/06/WhatHappenedQuants2007.pdf

英語の論文を読むのは面倒だけど、ちゃんと学んでおきたいという方にはスコットパタースンさんの「ザ・クオンツ」って本がおすすめです。

ザ・クオンツ  世界経済を破壊した天才たち

ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち

注目している場所

さて最後になりましたが、今後注目したいのはETFでしょう。

リーマンショック後は世界的にインデックス投資が注目されており、

ヘッジファンドなんかみたいに手数料もかからんしこりゃえーわみたいな感じに、インデックス買ってるだけ投資に勝るものなしみたいな流れが継続しています。その流れが継続してスマートベータとかも流行る流れになっています。

ETFへの投資ってのは何だかんだ難しい理屈がつけられていてもいうなれば大体買いであって、バリュエーションなんかも見ずにとりあえず何でも買っているみたいなもんです。そして、日本では日本銀行ETFを買っています。

そのような流れが逆流するときに受け止める投資家はいるのかという点なのですが、過剰流動性相場といわれながら実際は全然流動性がない今、それがどうなるかというのは、日本では何も考えられていないのか、恐ろしすぎるのか、誰も口にしない部分だったりします。アヒルさんはいってますけど。

ハワードマークス先生はこれに関して2013年くらいから警告しているようです。そして昨年はクオンツショック10周年ということで、この辺を指摘する向きもありました。さて、市場が下がる時のそのリスクは?という問題を少し考えておいた方が良いと思います。

下から二番目の記事にはちょっとしたETFの仕組みが載っていますので、あまりETFを知らない人はそれを見てみると良いでしょう。

そうして、世界の株式市場が流動性を失った時、世界の中央銀行ETF流動性を与える羽目になるのかもしれません・・・

www.zerohedge.com

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How would ETFs fare in a market downturn?

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